旅する布
Traveling Textiles
works / words / worlds
ひろいのぶこ 【著】A5判/コデックス装/294頁
定価:本体3500円+税
ISBN978-4-902078-44-2
2017年3月刊行
ブックデザイン 柳澤裕樹
作品 / 文章 / コレクションによる、ひろいの仕事をまとめた一冊。
羊毛や絹などの繊維を中心に、紙・金属・貝・珊瑚などの素材、織る・組む・縫う・縮絨などの技法による平面や立体、インスタレーションの作品。
布や糸による創作や素材と背景に思い巡らし腑に落ちたこと、調査の旅で出会った自然やそこでの人々の暮らしについて、眼差しをことばにして綴った文章。
そして、日本と世界をめぐる染織研究の旅を通じて、収集した多種多様な染織品や道具類、素材などを収録。
ひろいのぶこさんは手のひと。
その手にはしかし、とてつもない関係を夢見る力がある。異なるものとの出会いに震える生ぶ毛のような感受性がある。未知のものをたぐり寄せるおおらかさがある。糸を紡ぎ、結わい、繋ぎ、編む。異なるものをこのように織りあわせてゆくときのときめきは、糸や毛糸や革や針金を用いたファンタジーいっぱいの造形や、世界の各地域の織布技法の調査のみならず、ことばにも飛び火して、童話のような詩に結実してもきた。テクスタイルもテクストも、テクストゥーム(織られた物)というラテン語に
由来すると知れば、すっと納得がゆく。のぶこさんは、とことん、手で夢を見るひとなのだ。
京都市立芸術大学 学長 鷲田清一
[目次]
のびやかな手の想像力 鷲田清一
手仕事と物=語り ――ひろいのぶこの作品世界 小林信之
作品
調査リスト
手で見る、目でさわる ――ひろいのぶこの仕事 土田真紀
テクスト
・二つあるいはそれ以上
・布と共に生きる
・人の技と自然
・神の布、人の布
・あること・ないこと
・苔の帽子の子供たち
・染織の旅はつづく
・四季がはぐくむ感性
・土の力と植物の声
・道具というもの
・新しい時間へ
・自分を育てる
・想像と創造
・中国四川省と湖南省における苧麻の手績み、手織りの現状
・トルコ染織の今
・コレクションの行方
・時間を紡ぐ旅
・アンデスの少女
・ウズベキスタンの紐から
・私が見た韓国の麻布たち
・手仕事と表現
・お地蔵さんと籠の旅
・イランの水と赤い色
・織物はことば・・・そして舟
・作家が創立した美しい美術館に集う
年譜
初出一覧
ひろい のぶこ
1951年神戸生まれ。1975年京都市立芸術大学美術学部工芸科卒業。1977年京都市立芸術大学美術専攻科染織専攻修了。1988年より京都市立芸術大学美術学部工芸科染織専攻教員(現在、京都市立芸術大学名誉教授)。1997年〜98年文部省在外研究員としてアメリカ,カンザス州立大学に在籍。2010 年より国立民族学博物館共同研究員。1984年第2回ベータ国際ビエンナーレ展(コルトレ美術館,ベルギー)でベータプライズ大賞受賞。作品は,サバリア美術館(ハンガリー),アンジェ美術館(フランス),サンフランシスコ近代美術館,ロングハウスリザーブ(ともにアメリカ),京都市立芸術大学芸術資料館および京都市美術館に所蔵されている。京都、東京での個展をはじめ、アジア、ヨーロッパ、北米など海外での展覧会に出品。