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BOOK DETAILS
マルセイユ・ユーロメディテラネ
文化化と享楽の衰退港湾都市再生
鳥海 基樹 【著】A5判/並製/488頁
定価:本体3,500円+税
ISBN978-4-902078-71-8
2022年2月刊行
衰退こそ絶好のチャンス!
パリに次ぐ雄都に立ち上がった都市再生プロジェクト、
欧州地中海覇権都市建設構想(ユーロメディテラネ)。
何をやってもダメな崖っぷち都市を救ったのは、ヒップ・ホップ、サッカー、
フェスティヴァルといった文化と享楽の都市計画だった。
雇用改善、観光開発、地方創生、広域連携、そして何より社会的包摂にチャレンジする。
都市間競争に疲れたパリやロンドンが逆説的に注目する、4半世紀の街づくり。
***
地中海らしいバザール文化都市へーー
フランス地中海側の筆頭港湾都市・マルセイユ。バルセロナやジェノヴァに遅れを取り荒廃顕著であったこの都市に、国家が能吏を送り込み、立案したのがユーロメディテラネ構想である。
それはディズニーポートやマックウォーターフロントと呼ばれた北米型の港湾再生や、ロンドン・ドックランド型の新都心形成を目指さず、主軸としたのは文化である。ビルバオを追ってハイ・カルチャーに背伸びせず、大道芸やラクビー、はたまたスケボーすらも含む海洋都市らしいバザール文化が花開く。
マルセイユは、都市計画の文化化や享楽の活用により、雇用改善、観光開発、地方創生、広域連携、そして何より社会的包摂にチャレンジするのだ。
南仏らしく緩く、ワイルドで、楽天的な街づくりに挑んだ4半世紀の物語。
[目 次]
まえがき
序章
第1編 リュック・ベッソン、ジネディーヌ・ジダン、ユーロメディテラネ
第1章 序
第2章 マルセイユの地政学
第3章 フランスの都市整備システムとマルセイユ
第2編 唯我独尊の時代
第4章 戦前から戦災復興まで
第5章 ガストン・デフェールと開発市政
第6章 エドモンド・シャルル=ルーと市政の文化化
第3編 ライヴァルとユーロメッド構想
第7章 文化的社会基盤とナレッジ・シティの時代
第8章 ロベール・ヴィグルーと文治政治
第9章 マルセイユの未来は地中海からやって来る
第4編 廃屋の文化(化)史
第10章 「共に」の都市計画
第11章 トンネルと空き倉庫という原点
第12章 荒くれ者どものフリッシュ・ラ・ベル・ドゥ・メ
第5編 イルカとマルセイユ病
第13章 ジャン=クロード・ゴダンと海への視線の欠如
第14章 イルカの泳ぐ廃屋街
第15章 超高層と環境都市による没個性化
第6編 ダイナマイトとジェントリフィケーション
第16章 アゴラとダイナマイト
第17章 リノヴェーション賛成、しかし私たち抜きではなく
第18章 極めつきの下町の再生
第7編 国家と文化への跳躍
第19章 欧州地中海文明博物館(MUCEM)とマルセイユの名望
第20章 崖っぷち都市の欧州文化首都
第21章 クルーズ船誘致と衰退都心港湾という遺産
第8編 人生をもっと美しく
第22章 子をかすがいとした文化の開放
第23章 スポーツと文化を接着剤とした広域協働
第24章 結論
あとがき
[附表]ユーロメッド構想エリア・データ
ユーロメッド構想プロジェクツ・データ
ユーロメッド構想年表
マルセイユ関連政治色年表
鳥海 基樹(とりうみ もとき)
東京都立大学建築学科教授
1969年生まれ
2001年フランス国立社会科学高等研究院(EHESS)博士課程修了
Docteur (études urbaines)
近著に『ワインスケープ――味覚を超える価値の創造』(水曜社・2018年/2020年日本建築学会著作賞)、訳書にオギュスタン・ベルク『理想の住まい――隠遁から殺風景へ』(京都大学学術出版会・2017年)がある。