BOOK DETAILS
美学叢書 02

現代装幀

臼田捷治【著】
四六判上製/264頁
本体2600円+税
ISBN978-4-902078-01-5
2003年3月刊行
装画 矢吹申彦


装幀の神髄を知る
日本人独特の美意識が凝縮された装幀やブックデザインは、時代を移す鏡でもあった。装幀者たちの仕事や思想、それを取り巻くシステムと構造まで。受け継がれてきた本への思いとその魅力をとらえた、装幀からみた出版文化の記録。—戦後装幀史年表付き—
CONTENTS
はじめに
Ⅰ. 装幀を愛でる
装幀の愉悦——戦後デザイン史を振り返る
Ⅱ. 思想としてのデザイン
繊細にして強靱なポエジー—「清原悦志の仕事1956—1988」展
広やかな視界—中垣信夫のブックデザイン
(1)ドイツ体験
(2)固有の輝き
(3)社会に開かれたデザイン
杉浦康平—デザインにアジアを注ぎ、宇宙を宿す[インタビュー・構成]
(1)活動の原点と転機 西欧モダニズムの鏡に映ったアジア
(2)アジアの万物照応劇場 生命感あふれる形、有機的配色、瞑想的構造
(3)マンダラ透視 光、地球、宇宙に通じる円相の魅力にとりつかれて
(4)文字への愛 文字は変幻する生命体、神話性の力を宿す
(5)図象解析 時間、空間、物量を相対的に視覚化する
(6)音楽との親和 デザインがかもしだす五感相互の共感覚
(7)ブックデザインの実験 本は視覚、触覚、臭覚を活性化する複合宇宙
貴腐の香りを引き立てる補色の美学—羽良多平吉の色彩術
Ⅲ. 装幀の現場から
平野甲賀—書き文字による装幀
田中一光—一九八六年度ADC会員最高賞受賞
大竹伸朗—一九八七年ADC最高賞受賞
菊地信義—昭和六十三年度講談社出版文化賞受賞
山崎 登—一九八九年度第二十四回造本装幀コンクール文部大臣賞受賞
太田徹也—一九九二年度原弘賞・ADC賞受賞
祖父江慎—『杉浦茂マンガ館』で平成九年度講談社文化賞受賞
早川良雄—〈マーメイド〉の質感・量感・色みを生かして
Ⅳ. システム・構造と用紙
タイポグラフィの変遷・写植
日本語の美しい組版の系譜
一九七〇年代 深化するブックデザイン
「構造物」としてのブックデザインの展開
太田徹也—一九九二年度原弘賞・ADC賞受賞
戸田ツトムのエディトリアルデザイン[インタビュー・構成]
Ⅴ. 出版文化を彩る
〈ウナック〉と海上雅臣の四半世紀
装幀にみる出版文化—時代を映す「鏡」として高まる役割
(1)本を購入する最初の手がかりを提供してくれる装幀
(2)「装幀の勝利」と喧伝された『ノルウェイの森』
(3)装幀には日本人独特の美意識が凝縮
(4)美術家が「もうひとつの絵画作品」として取り組んできた装幀
(5)印刷に精通したグラフィックデザイナーが進出
(6)装幀の魅力は「勝利の方程式」が存在しないこと
装幀におけるミニマリズムの系譜

初出一覧
戦後装幀史年表
あとがき
臼田捷治(うすだ・しょうじ)
1943年、長野県生まれ。早稲田大学第一文学部美術専修卒業後、編集の仕事に従事、『デザイン』誌(美術出版社)の編集長などをつとめる。現在はタイポグラフィと書を中心とした文字文化、装幀などのグラフィックデザインの分野において執筆活動を中心に活躍している。 主な著書に『装幀時代』(晶文社)、『装幀列伝』(平凡社)、編集協力に『日本のブックデザイン1946-95』(大日本印刷)、『日本のタイポグラフィック・デザイン1925―95』(トランス・アート)などがある。

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