BOOK DETAILS

演劇と社会 英国演劇社会史

中山夏織【著】
四六判並製/502頁
本体4000円+税
ISBN978-4-902078-03-9
2003年4月刊行

※弊社品切れです。
十九世紀のヴィクトリア朝の一八四三年頃から、ブレア新労働政権誕生の一九九七年までの約百五十年間の英国演劇の発展と、そのシステムの構築、文化政策の展開と影響、社会との関係性を、演劇人の思いや抵抗、挫折をも絡めて描かれた労作。日本における芸術文化政策、アート・マネジメントの今後にもヒントを与えてくれる一冊。
CONTENTS
はじめに—英国演劇の構造
第一章 現代演劇システムへの萌芽 ヴィクトリア朝演劇と社会
  • ヴィクトリア朝演劇—1843年の劇場法の周辺
  • 社会構造の変化—ヴィクトリア朝の光と影
  • 観客の構造と興行システム—1850−80年頃
  • ロイヤルの称号とサーキット—地域演劇(Regional Theatre)誕生前史
  • ストック・カンパニーの盛衰
  • アクター・マネジャーと商業興行主
  • 俳優の社会的地位の向上とヘンリー・アーヴィング
  • ヴィクトリアン・ヘイデイズ—サボイ・オペラとドイリー・カート
  • ストラッドフォードの春—ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの礎
  • 19世紀のスコットランド演劇—ナショナル・ドラマ
  • ミュージック・ホール!—革新自治体の挑戦
  • オールド・ヴィックと社会政策—エマ・コンスの夢
  • シンジケートの誕生
  • 新しい演劇への渇望
  • 第二章 二つの大戦と演劇の社会化 エドワード朝の食卓と国家の栄光
  • レパートリーの理念とナショナル・シアターの夢
  • 演劇学校の誕生—ビアボウム・トゥリーとADA
  • ドラマ教育への萌芽
  • リージョナル・レパートリー・シアター運動
  • アクター・マネジャーと俳優の組織化—俳優組合の誕生
  • 二つの戦争のはざま—演劇と政治
  • 二つのシェークスピアの家
     —シェークスピア・メモリアル・シアターとオールド・ヴィック
  • 第2次レパートリー・シアター運動
     —オックスフォードとケンブリッジ
  • 地方公共団体の関与と限界
  • 労働者演劇運動—カクテル・バーからワークショップへ
  • スコットランドの演劇活動
  • 映画の嵐と非営利化
  • 第三章 福祉国家と英国芸術評議会 無数のタンポポ,一輪の薔薇
  • 福祉国家の誕生
  • CEMAとケインズ
  • 英国芸術評議会の誕生
  • ケインズと商業興行主
  • 中央集権と地域文化政策—地域演劇拠点の直接運営
  • 「アーツ・センターのためのプラン」
  • プリーストリーの公立劇場と地域ネットワーク構想
  • 芸術文化の地方分権—1948年地方公共団体法
  • 非営利演劇組織制度の確立—1948年法人法
  • ナショナルへの道とフェスティバル・オブ・ブリテン
  • 新しい英国演劇の揺籃
     —イングリッシュ・ステージ・カンパニーとシアター・ワークショップ
  • アート・シアター—ウエストエンドのなかの小劇場
  • ベルグレード—英国初の公立劇場の誕生
  • ウィークリー・レップの終焉
  • 「フリンジを超えて」—エディンバラ・フェスティバル&フリンジ
  • シェークスピアの家—ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの誕生
  • ユニオン・ジャックとオリヴィエ
  • グレーター・ロンドンの文化政策
  • 地域芸術協議会の発足
  • 第四章 「文化政策」の時代 コミュニティとカルチャー
  • ジェニー・リーと文化政策—芸術についての政策
  • ウエスカーの挫折—センター42と労働者階級
  • リージョナル・シアター発展の基盤と試練
  • 演劇教育のリベラリズム—TIEの発展
  • シンデレラ・ドリーム—児童青少年演劇への公的助成
  • 演劇支援プログラムの多様化—人材の育成へ
  • 検閲制度の廃止—チャンバーレイン卿の筆
  • 英国の1968年と「フリンジ」の形成—新しい創造と演劇拠点
  • 演劇の現在—商業演劇への支援?
  • 変りゆく演劇の組織構造—劇団制の崩壊
  • アート・マネジメント教育の成立
  • コミュニティとカルチャー—集団創造と集団運営
  • 不思議な劇場の誕生—ロイヤル・エクスチェンジ・シアター
  • ナショナル・シアター開場—オリヴィエからホールへ
  • トレーヴァー・ナンのRSC—アンサンブル演技と新しい活動
  • アームス・レングスと民主主義
  • 「文化の民主主義」と「文化の民主化」—2つのデモクラシー
  • ドラマ・パネル・ゲーム—説明されない理由
  • 英国芸術評議会の変貌
  • 第五章 サッチャリズムの嵐 生か,死か
  • エンタープライズ・カルチャーと地方分権—価値の転換
  • 新文化政策—製作者助成から消費者助成へ
  • プリーストリー報告書—政府 対 英国芸術評議会
  • 「庭園の栄光」の意味するもの—偉大なる芸術首都と地方分権
  • オールド・ヴィックとチャリティ
  • グレーター・ロンドン・カウンシルの攻防—開かれた文化政策の終焉
  • 英国成功物語—芸術への「投資」
  • サタディナイト,あるいはサンデーモーニング
  • 新しい劇場の誕生
  • 演劇は誰のもの?—シアター・イズ・フォー・オール
  • アン・ジェリコーとコミュニティ・プレイ—コミュニティの祝祭
  • 障害者と芸術—外なるバリア,内なるバリア
  • サバイバル・ゲーム—演劇人は闘う
  • マーケティング! マーケティング!
  • 英国における芸術の経済的重要性とミュージカルの時代
  • 俳優と演出家—揺らぐ職業
  • ロイヤル・コートとマックス・スタッフォード=クラーク
  • リチャード・エアのナショナル—静かな改革
  • 演劇と教育—ナショナル・カリキュラムとTIEの崩壊
  • ワイルディング報告書と地方分権
  • バーミンガム&グラスゴー—芸術による都市の再生
  • 1990年代—欧州統合と冷ややかな時代
  • 第六章 冷ややかな時代の演劇 演劇と社会
  • 危機に直面する演劇—さらなるハードル
  • 国民文化財省と「創造的な未来」
  • ホフマン報告書と芸術を測る評価基準—オーケストラの美人コンテスト
  • エイドリアン・ノーブルとロイヤル・シェークスピア・カンパニー
  • 英国芸術評議会の解体
  • マンチェスター—演劇都市と文化の多様性
  • 文化の多様性—障害者芸術とトレーニング
  • 国営宝くじとミレニアムの狂想曲
  • イングランド芸術評議会の演劇政策—ビジョンと戦略
  • ウエスト・ヨークシャー・プレイハウスとコミュニティ
  • ベルグレード・シアターの民営化—荒療治と劇場の再生
  • シェークスピアの夢—グローブ座の再建
  • 俳優の労働条件と社会保障
  • 奨学金—演劇学校と大学
  • オールド・ヴィック再び—ピーター・ホールの挑戦
  • 冷ややかな季節—演劇と社会
  • ブレア政権とクリエイティブ・インダストリー
  • 資料編
  • 英国演劇社会史略年表 BIBLIOGRAPHIES
  • あとがき

  • 中山夏織(なかやま・かおり)
    三重県四日市市生まれ。明治大学文学部演劇学専攻卒業。株式会社東急百貨店を経て,90−95年,社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)勤務。2度にわたり,英国へ留学し,シティ大学芸術政策経営学部に学ぶ。芸術経営学修士。同博士課程中退。98年,特定非営利法人(NPO)シアタープランニングネットワークを設立し,調査研究のみならず,多くの国際交流にかかるコーディネーションを担う。著書に「Inter-national Arts Briefing No.1 Japan」(Arts Council of Eng-land),「演劇と地域のパートナーシップ—英国演劇ワークショップの周辺」(ダブルフェイス),「英国におけるアートマネジメント教育の現状と課題」(芸団協)他。桐朋学園大学音楽学部,桜美林大学文学部総合文化学科,愛知県立大学文学部非常勤講師。専門はアーツマネジメント(特にヒューマンリソースマネジメント),文化政策,演劇政策。

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