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美術史の余白に

工芸・アルス・現代美術 「工芸」シンポジウム記録集編集委員会 【編】
A5判並製/430頁
本体価格2900円+税
ISBN 978-4-902078-15-2
2008年9月刊行 ※弊社品切れです。
東京都現代美術館で二〇〇五年に開催されたシンポジウム「工芸――歴史と現在」の記録集である。工芸の歴史をかえりみ、現在を照らし、未来をも考えるものとして、発表草稿に大幅に手を加え、さらにゲストコメンテ-タ-からの寄稿をあわせ、現代における工芸・アルス・美術をめぐる刺激的な論考により編まれている。
新たな世紀をむかえた現在、情報社会における美術は、工芸は、どこへ向かおうとしているのか。現代美術と現代工芸の交差を積極的にうながし、それらの来し方を再把握することによって、両者の相関性を明らかにし、情報社会における造型の潜在的可能性=「アルス・ノーヴァ(あたらしき技)」を探る。
CONTENTS
■第Ⅰ部 歴史編
Section 1 工芸ジャンルの形成 明治期の動きを中心に
  • 細工と技芸 ――日本近代工芸外史・序説  大熊敏之
  • 「工芸」ジャンルの形成 ――第三回内国勧業博覧会の分類を手がかりとして ……北澤憲昭
  • 工芸とジャンルのヒエラルキー ――神人異形か同形か ……佐藤道信
  • 明治前期における工芸作品と図案への一考察 ……寺尾健一
  • 工芸史観の芽生えと現在 ――古九谷論に関連して ……山崎剛
  • Session 2 工芸の現代化過程 大正期から戦後にかけての動向
  • 工藝と美術との鬩ぎ合い ――欧州との相互影響・欧州での状況との比較を軸に ……稲賀繁美
  • 「工芸」と「craft」 ――近代工芸の歴史の中で ……金子賢治
  • 帝展が描き出す「工芸美術」の輪郭線 ……木田拓也
  • 「民芸」 ――理念としての工芸 ……土田真紀
  • 工芸の「ささやく声」 ――〈ひとがた〉〈日本画〉から ……天野一夫
  • 工芸の来し方と行方 ……森仁史

  • ■第Ⅱ部 現在編
    Session 3 工芸の現場 作家たちの発想
  • 漆のかたち ――質感から表現へ ……田中信行
  • 意味としての工芸 ……中村康平
  • 「アルス・ノーヴァ」に ……橋本真之
  • 器物 ――思考の周縁部をめぐって ……樂吉左衞門
  • 工芸科鍛金 一九七七―一九八一から現在へ ……金沢健一
  • 「工芸」再読の功罪 ……冨田康子
  • Session 4 美術の現在と工芸 ジャンルの現在と造型の潜在的可能性
  • 見えない「工芸」へ ……天野一夫
  • 工芸の現在性 ……奥野憲一
  • アルス・ノーヴァ ――アヴァンギャルドと工芸の現在をめぐるノート ……北澤憲昭
  • 工芸とアフォーダンス ……暮沢剛巳
  • 動的の工芸 ……藤井素彦

  • ■第Ⅲ部 特別展示「アルス・ノーヴァ」記録/ゲスト・コメンテーター寄稿
    Session 5 ゲスト・コメンテーター 寄稿
  • ものをつくる力 ……井上雅之
  • アジアの美術と工芸 ……後小路雅弘
  • 「工芸」に向かう絵画 ……提髪明男
  • 「工芸的なもの」の反撃 ……白川昌生
  • アプレゲールな「一言陶士」、二十世紀後半での展開 ……中村錦平
  • 日本工芸の古典を求めて ――『茶之湯釜図録』(大正三年)刊行からみえてくること 本橋浩介
  • 未来形のヒント ……尹煕倉
  • いま、なぜ「工芸」なのか? ……松山龍雄
  • 〈彫刻〉と〈工芸〉と〈いい仕事〉 ――ものをめぐる言葉について ……村上敬
  • 工芸雑感 ――「工芸」とのふたつの出会い、二つの距離 ……右澤康之
  • あとがき
    資料編 工芸関連文献一覧/「工芸」関連主要展覧会年表

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