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Museum Library Archives 02
日本におけるフィルムアーカイブ活動史

石原香絵【著】

四六判上製/384頁
本体3200円+税
ISBN978-4-902078-49-7
2018年3月刊行


フライヤー

かけがえのない文化遺産である「わたしたちの映画」をいかに守るのか?
映画の草創期から現代までを対象に、国際機関の動向もふまえ、
映画フィルムの収集・保存およびアクセス提供などのあらゆる側面を考察。
フィルムアーカイブ活動の歴史から現状を問い直し、新たな展望を拓く。

目次
序 章 フィルムアーカイブ活動の歴史を問う
1 一九九〇年代に体系化された視聴覚アーカイブ活動の理論
2 動的映像アーカイブとアーカイブズ機関の関係 ──善き隣人となるために
3 欧米を中心とするフィルムアーカイブ活動史の研究
4 フィルムアーカイブ活動の史的考察 ──日本の場合
5 なぜ映画フィルムを保存するのか
6 日本のフィルムアーカイブ活動の現在地
7 改善策を過去に求めて
第一章 フィルムアーカイブ活動の原点を求めて
1 映画フィルム ──一九世紀末の開発から二〇世紀初頭の規格統一まで
  起源の映画に採用されたキャリア / 〈映画フィルム〉の基本構造 /
  始まりの一八八九年 ──コダックによるロール式ナイトレートフィルムの
  商品化 / エジソンの映画と著作権登録 / 映画誕生 ──シネマトグラフ・
  リュミエール / 〈映画フィルム〉の国際的な規格統一
2 ボレスワフ・マトゥシェフスキ ──世界初のフィルムアーカイブ論とその先見性
  マトゥシェフスキについてわかっている事柄 / マトゥシェフスキの提案
3 一九一〇年代のヨーロッパに出現したフィルムアーカイブと二つの国際組織
  世界最古のフィルムアーカイブ「デンマーク国立映画と声のアーカイブ」 /
  オランダ国立中央フィルムアーカイブ」とハーゲフィルム現像所 /
  国際教育映画協会(IECI)──一九二八年の結成から一九三七年の
  解散まで / 国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)誕生 / 一九三九年
  のニューヨーク、第一回FIAF会議と前田多門
第二章 軍国主義時代の映画フィルム
1 内務省による映画の取締と「映画法」の制定
  残っていない最古の日本映画 / 映画検閲の変遷(1)──映画伝来から
  一九二〇年代まで / 映画検閲の変遷(2)──一九三〇年代以降 /
  フィルム・インスペクションの重要性 / 初の文化立法「映画法」制定への布石
2 文部省による映画の振興と「映画法」
  「映画法」第一〇条、第一一条、第一五条を考える /
  保存映画に指定された田坂具隆監督 『土と兵隊』 /
  「映画法」という過ち / 不破祐俊とフィルムアーカイブ設置構想
3 大毎フィルム・ライブラリー ──フィルムアーカイブの初期形態
  大阪毎日新聞社の映画事業 / 大毎フィルム・ライブラリーのあらまし
  / 稲田達雄による一九三五年のフィルム・ライブラリー論
4 戦時下の映画フィルム
  映画フィルム収集の初期事例 / 日本映画を輸出する ──戦前の東和に
  よる挑戦と挫折 / 中国に残存する日本映画 / 写真工業の形成 ──映画
  フィルムの国産化と現像所の設立
第三章 日本映画の網羅的な収集はなぜ実現しなかったのか
1 映画フィルムの危機 ──GHQによる占領期
  敗戦直後の映画界 / GHQによる映画検閲 /接収された日本映画の行方
2 映画フィルムと法定納入制度の連関
  法定納入制度の由来 / 法定納入制度と映画フィルム /法定納入先として
  の国立国会図書館 / 映画フィルムの納入免除、その三つの要因 /
  納入免除の一因となったナイトレートフィルムの危険性 /
  国立国会図書館における視聴覚資料の位置づけ
3 日本映画の貯蔵庫 ──国立国会図書館から国立近代美術館へ
  映連会長・池田義信の貢献 / 映画の網羅的収集を目指して
第四章 川喜多かしこと戦後日本の〈映画保存運動〉
1 〈映画保存運動〉前史 ──一九五〇年代
  ニューヨーク近代美術館を模範とした東近美フィルム・ライブラリーの
  事業と斎藤宗武の貢献 / 戦後FIAFの再出発 / 国際的な文化人としての
  川喜多かしこの横顔 / 川喜多かしことフィルムアーカイブの出会い/
  牛原虚彦のFIAFドゥブロヴニク会議報告 / 中国からの日本映画
  返還の提案 / FIAF加盟の実際 / 一九五九年のラングロワ事件 ──
  FIAFとの決別
2 〈映画保存運動〉の萌芽期 ―一九六〇年代
  フィルム・ライブラリー助成協議会の設立 / フィルム・ライブラリー助成
  協議会の貢献 / 米国議会図書館が所蔵する日本映画 / 日本映画の返還
  事業とその恩恵 / 返還後のナイトレートフィルム / 独立問題の発生
   ──フィルム・ライブラリーからフィルムセンターへ
3 〈映画保存運動〉の成長期 ──一九七〇年代
  建物の分離とフィルムセンターの設立 208 / 設立はしたけれど…… /
  衣笠貞之助監督『狂った一頁』の発見 /フィルムセンター設立後の協議会/
  日本初の映画フィルム専用収蔵庫の建設決定 / 実現しなかった
  「京都府立映像会館(仮称)」構想
4 〈映画保存運動〉の転換期 ──一九八〇年代
  「川喜多記念映画文化財団」の設立とマーティン・スコセッシの来日 /
  一九八四年の惨事 ──フィルムセンター火災の教訓 / フィルムセンター
  相模原分館の完成 / 地方の時代(1)――広島市、京都府、川崎市
5 〈映画保存運動〉の成熟期 ―一九九〇年代
  フィルムセンターのFIAF正式加盟 / 映画一〇〇年の節目に完成した
  新フィルムセンター / 日本映画復元の初期(1)──育映社の仕事 /
  日本映画復元の初期(2)──『忠次旅日記』と『瀧の白糸』 / ロシアの
  ゴスフィルモフォンドが所蔵する日本映画 / 地方の時代(2)──福岡市
6 〈映画保存運動〉の半世紀
     
第五章 わたしたちの文化遺産としての映画フィルム
1 映画が文化遺産として認められるまで
  ユネスコが訴える文化遺産の保護 ──「ハーグ条約」と「文化財不法輸
  出入等禁止条約」 / ブルーシールドを掲げて / 一九七四年に始まった
  議論 ──ユネスコによる動的映像の保存・保護 / 一九八〇年に採択された
  「動的映像の保護及び保存に関する勧告」 / 「動的映像の保護及び
  保存に関する勧告」採択の効果 / 現在も続く文化遺産の本国返還 /
  映画の本国返還とその時代的な変化
2 映画の文化遺産登録に向けて
  映米国の映画保存制度(1)──「米国映画保存法」 / 米国の映画保存
  度(2) ──ナショナル・フィルム・レジストリーと映画財団 / 日本映
  画と戦後の文化芸術振興 / コンテンツ重視の傾向 / 日本の重要文化財指定 /
  重要文化財に指定された三本の日本映画 ──国家主権型の典型例/
  身近な映画文化遺産の登録 ──自主参加型の試み
3 デジタル時代の映画復元
  映画復元の倫理的課題 / デジタル技術の限界 / 日本映画の「復元」と
  デジタル技術 / 復元された映画の上映 / 利用者側から見たアクセス方法
4 デジタル時代を生き抜く映画フィルム
  コダック再建と富士フイルムによる映画フィルムの製造中止 /
  長期的な記録メディアとしての映画フィルム / 映画フィルム専用収蔵庫
  をつくろう / 海外から届いたいくつかの明るい話題 / これからも続く
  日本の〈映画保存運動〉
終 章 映画フィルムは救えるか
1 日本のフィルムアーカイブ活動の現状を問い直す
2 先人たちの積み上げてきたもの
3 映画保存の未来を拓く

コラム
民間による映画フィルムの救済事例に学ぶ(1)──『二〇年後の東京』
民間による映画フィルムの救済事例に学ぶ(2)──カワシマクラブ
民間による映画フィルムの救済事例に学ぶ(3)──活動写真弁士
付録
1 用語解説
2 略称一覧
3 大阪毎日新聞社 活動写真班編「フイルムから御願い」
4 フィルムアーカイブ活動 略年表
5 ユネスコ〈世界の記憶〉に登録された映画フィルム一覧

著者
石原香絵(いしはら かえ)
NPO法人映画保存協会(FPS)代表。2001年、L.ジェフリー・セルズニック映画保存学校卒業。学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻(博士課程)単位取得退学。博士(アーカイブズ学)。日本アーカイブズ学会登録アーキビスト。名古屋学芸大学メディア造形学部非常勤講師。 主な論文に「〈映画保存運動〉前夜―日本において映画フィルムの納入義務が免除されたとき」『GCAS Report』Vol.3(学習院大学人文科学研究科アーカイブズ学専攻、2014)、「世界/日本の映像アーカイブ事情」『映像にやどる宗教 宗教をうつす映像』(せりか書房、2011)、“Lost Films from Japan”, Lost Films of Asia (Anvil, 2006)など。

[新刊紹介・著者インタビュー]
  • 『キネマ旬報』2018年7月上旬号(No.1783)書評掲載
      「幅広い視座でフィルムアーカイブをとらえる」(評者:佐伯知紀氏)
  • Web『シミルボン』2018年5月10日書評掲載
      「映画保存を学ぶ一冊」(評者:高槻真樹氏)> Link


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