-
Category
- アート・美術
- 工芸
- デザイン
- 美学・美術史・芸術学・
美術評論 - 美術教育・芸術教育
- 映像・メディア
- 建築・ファション
- 舞台芸術
- 文化政策・芸術経営・
文化資源 - 作品集
-
学会誌
- 文化政策研究
遠藤彰子《鐘》のすべて
森山明子【著】遠藤彰子【画】
B5判変型/104頁
デザイン:新保韻香
定価:本体1,800円+税
ISBN978-4-902078-58-9
2020年3月26日刊行
画家・遠藤彰子の代表作《鐘》味読の旅へ──
「人間の存在」や「生きている実感」をテーマに、魂を揺さぶる壮大な物語を描く画家・遠藤彰子。
500号三連で1500号大の《鐘》は、遠藤の画業にとってひとつの到達点であり、転換点に位置する代表作。
月が照らす大地に登場するのは数え切れない動植物、とりわけ人物だけで数百人が描かれたこの巨大画を、本人の言葉もひもときながら、全体から細部へ、テーマからモチーフへと読み解いていく。遠藤の絵画世界に迫る「一作一冊」の試み。
[目 次]
はじめに──「一作一冊」の試み
1章 遠藤彰子にとっての《鐘》
2章 《鐘》の主題と構成
1 主題 〈食の饗宴、底流には死〉
2 構図 〈パノラマと同心円〉
3 変容 〈モチーフと時空における〉
4 人間 〈小さな人物にも感情移入〉
5 動植物 〈食物連関と弱肉強食〉
6 風景 〈野火、河、日月〉
3章 《鐘》中央画面──現世の享楽の終わり
1 主役は危機に瀕する三美神か
2 白昼の饗宴にふさわしい豪勢な食物
3 果物が女に変容する
4 宙を舞い、落ちゆく人たち
5 後景には余暇の光景が
6 台を欠いた卓布の陰で
7 河のこちら側の不穏な群像
4章 《鐘》右画面──老・病・死と貧しい日常
1 老・病・死の不気味
2 蒼ざめた馬
3 暁闇の黒い犬または狼
4 黒い鳥は飛び、白い鳥は落ちる
5 裸の老木と木立
6 貧しい食卓と死の舞踏か
7 水は橋で逆巻く
5章 《鐘》左画面──生の悦楽と食物連鎖
1 当たり前すぎる三組の母子
2 獣の頭部を囲む卓上の飲食
3 飽食と欠乏
4 再び変容というテーマ
5 遊戯する群像と不動の一点
6 流れては消える河の円環
7 黄昏に際立つ炎と野火
8 月と山の稜線〉
おわりに──《鐘》から「四季」へ
巻末資料
1 遠藤彰子のおもな自作解説
2 遠藤彰子のおもな他者作品評
3 略歴 遠藤彰子・森山明子
文=森山明子 MORIYAMA Akiko
デザインジャーナリスト、武蔵野美術大学教授。
一九五三年新潟県生まれ、東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。特許庁意匠審査官、国際デザイン交流協会勤務、日経BP社「日経デザイン」編集長を経て現職。
著書に、『まっしぐらの花──中川幸夫』『石元泰博──写真という思考』 『新井淳一──布・万華鏡』『デザイン・ジャーナリズム 1987→2015』 『詩劇 花はくれない』(以上単著)、『Gマーク大全──グッドデザイン賞の五〇年』『同六〇年』(監修)、『オリンピックとデザインの政治学』(若山滋と共著)などがある。
画=遠藤彰子 ENDO Akiko
画家。武蔵野美術大学客員教授、二紀会委員、女流画家協会委員
1947年 東京都生まれ、武蔵野美術短期大学美術科油画専攻卒業
1986年 「遠い日」で第29回安井賞展・安井賞受賞
1996年 武蔵野美術大学油絵学科助教授(99年教授)となる
2007年 平成18年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞
2014年 紫綬褒章受章
2015 年 パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)招聘教授
主な個展は、「予感に満ちた—心象の街 遠藤彰子展」「遠藤彰子展—力強き生命の詩」「遠藤彰子展 Akism—生命を謳う」「遠藤彰子展 私は来ている 此処に、何度も」「—満ちゆく生命—遠藤彰子の世界展」「魂の深淵をひらく—遠藤彰子展」「Ouvrir la profondeur de l’âme」(パリ)「遠藤彰子展 “Cosmic Soul”」「遠藤彰子展 魂の旅(2021年春予定)」など。
Link > 遠藤彰子's Official Website
[新刊紹介・書評]
「壮大な作品世界を詳述」(評者:谷口雄三氏・鹿児島市立美術館学芸主幹)
「画家の絵画世界に迫る1作1冊の試み」